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くだらなくも愛しい日常を公開。 テニス(山吹)まるマ(ヨザケン)電王(キンウラ)に熱を上げている今日この頃。
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このレポートは瀬高透・ムロコ・吉田蒼偉(50音順)による平凡な旅行をただただ綴ったものです。
過度な期待はしないで下さい。
なお、レポートを読むときは充分なお時間をお取りになって下さい。
また、要所要所で上記三人以外の素敵な管理人さんのお名前が出ますが
好意100%で悪意は微塵もありません。





我輩は腐女子である。名前は吉田蒼偉。
どこで道を間違ったかとんと検討がつかぬ。何でも母親の実家でちばてつやを読み漁っていた事だけは記憶している。
我輩は初めて保護者の居ない旅行というものに出た。
しかもあとで聞かなくとも、その相手は瀬高透殿とムロコ殿いうある人間の間では神や姫と呼ばれる人種だった。
この二人というのはたまに我輩の前でイチャついてみせるラブラブっぷりである。



序章 北千住から鬼怒川。

さて、東京都足立区、北千住である。
我輩はREBORN!をゆっくり観賞しすぎて家から駅、松戸駅の構内、北千住のホームを全速力で駆け抜けた。
辿り着いた東武線の改札前、切符を買ってホームに入るように前日に瀬高殿から言われていた。
一万円を投入し、切符を購入する。
鬼怒川温泉駅が今回の目的地だ。
振り返るとそこに見覚えのある美少女が立っていた。
ムロコ殿である。否、ムロコ姫とお呼びした方がよいのかもしれない。
天使と見紛う彼女に会うのはこれで三度目だ。
表記してみるとその少なさに我輩は少し驚いた。
しかし間違いではない。何せ我輩は彼女のメールアドレスをまだ知らない。

「おはようございますムロコさんメアド教えて下さい。」

一息で言えていただろうか。
用意しておいた台詞にムロコ姫は微笑んだ。
この出会いは偶然であるから、瀬高殿がそこに居ないのは虐めではない。
我々はとりあえず改札を抜ける事にした。
電光掲示板には確かに鬼怒川温泉行きという文字が流れているが、瀬高殿の指定した
12:00発の文字が見当たらない。
我々の携帯検索システムにも12:00発の電車は表示されているが
一向にその電車が見当たらない。
我々はスライムよろしく慌てふためいた。
ウロウロと構内を歩き回り、結局駅員に聞くことにした。
一番線である。
どうやら階段を降りた所にある一番線の電光掲示板は
改札を抜けてしまった構内では見られなかったようだ。
階段を降り、一番線で案内板を見上げ安堵する。
瀬高殿に二人の所在地を送らねば。
その連絡作業を我輩は全てムロコ姫に任せた。非常に使えない旅の供だ。

電車がもうすぐ来ようかという所で瀬高殿が合流した。
久しく会ったが彼女は変わらず元気な様子だった。
ただ、朝からまるマイベントのチケット争奪電話に参戦して来たらしい。
結果は惨敗で、彼女はチケットを獲得したいっちゃんを大層羨ましがっていた。
旅行前から一仕事して来るパワーにムロコ姫と我輩は素直に感嘆した。
そしておめでとういっちゃんと神を祝った。

列車は長旅用の対面座席である。
土曜の鬼怒川行きはやはり人が多く、対面する4席が空いた場所を見つけられず我々は
腐ではない一般人という別種族の男性に相席を申し込んだ。
後から来た我々に遠慮という文字はない。
遠慮どころか、今考えれば恥を知らない。
彼は「村田」「渋谷」「次男」「三男」「勝利」の他に上がる「ヨザック」と「コンラート」の名を
どのように受け止めたのであろうか。
そしてことあるごとに「可愛い」「いい人」「萌え」と称される「たいらさん」を
どのような女性と想像したのだろう。
前者は二次元で後者はリアルだが、彼にその違いは分かるまい。
たいらさんが男性向けアニメのキャラにならなかった事だけを祈る。

我々の会話は取り留めもなかった。
取り留めてしまってはいけない、とも言う。
あの会話を取り留める場合はイベントに参加し同人誌という形に変換すべきである。
たいらさん萌えの話はどこで取り留めたらよいものか。
とりあえず互いの実家・家族の話は本当に取り留める必要がないだろう。
自伝を書くというテもあるが。需要がないことは確かだ。
姫の誕生日に纏わる様々な企画は来年の春まで待って頂きたい。

瀬高殿は本気のようだ。
ムロコ姫は怯えている。

RPGのウィンドウが要所要所で見えたが、我輩はそれを甘んじて受け入れた。
途中、振り出した雨にこの先の旅の心配をするという普通の旅行らしい会話もあったが
その割合は刈りポニとダガスコスが結婚するぐらいであろう。
つまりは、腐った会話に対して物凄く少なかったのだ。
お菓子の蓋を器用にも開けられないムロコ姫も普通なら
可愛いと言うのだろうが、我々にかかると「萌え」だ。

どこで道を間違ったかとんと検討がつかぬ。

列車に終点のアナウンスが流れた。
検索システムでは、乗り換えの表示はなかった。
誰の携帯・パソコンでもそう表示されていたのだろう。
我々は今乗っている電車に飛び込めば目的地に着けることを誰一人として疑っていなかったのだが。




明らかに鬼怒川温泉駅ではない。

ここは一体どこなのか?どこなのかここは一体?
我輩は吉田蒼偉であるが、ここはどこなのか。

どこで間違ったのかとんと検討がつかぬ。

終点と言われてしまうと、列車を降りるしかなかった。
我々は困惑しながら列車を降り、駅で辺りの様子を覗った。
違う。やはりこの場所は違う。
下今市で乗り換えしなければならないようだった。

誰のせいでもない。誰のせいでもない。

我々は繰り返した。
繰り返しながら引き返す電車に乗った。
乗った後も繰り返した。

我々のせいではない。決して我々は阿呆ではない。
我々はハメられたのだ。トラップに。

そのせいで到着が○時間遅れたが、それも日記のネタになると言って慰め合い笑い合えばよいのだ。

決して我々は阿呆ではない。



第二章 鬼怒川散策



トラップにも負けず、我々はついに鬼怒川へ辿り着いた。
鬼怒川のマスコットなのか、伝説の鬼なのか鬼怒太が我々を出迎える。
鬼怒太、なんて安直で愛しい名なのか。
そのネーミングセンスに我輩はもう脱帽だ。
鬼怒川の各ホテルを回るバスに乗り、いよいよ旅館を目指す。

バスを降りてすぐに我輩の荷物が風で飛ばされた。
その際、我輩のあまりにやる気のない反応に神々を驚かせてしまったようだ。
なにをいまさら。我輩の適当さは今に始まったことではない。

「あれ蒼ちゃんのじゃ…。」
「あぁ、私のですねぇ。」(動かない)

二人のピュアさに私の痛さが浮き彫りになった。



川に沿って立ち並ぶホテルの数々。
我々の宿はどこなのか。きっとこちらだろうと歩く。
この旅に下調べはあまり存在しない。
それで着いてしまうので我輩は次回何かあったときもきっと学習しないだろう。
写真に鬼怒川と書き込んでみたが、これが鬼怒川でなかったら我輩はホテルを訴える。
当然鬼怒川であろう川の写真に何故鬼怒川と書き込んでしまったのか
今の我輩には理解出来ない。アンインストール。



瀬高殿が手配して下さった宿である。
ものぐさの宿 花千卿。
ものぐさと掲げてはいるが、女性用の浴衣を二十種類用意してある宿がものぐさなはずない。
ムロコ殿はピンクの浴衣を、我輩は色違いの黄色の浴衣を、瀬高殿は青い浴衣を選んだ。
後で気付いたが、信号機だった。いや、羞恥心か。
更に夜はビンゴ大会を催す宿。ものぐさなものか。ものぐさなわけがない。



色々と空気を読んだカードを渡された。
何故分かった…!何故44が43の上に乗る物が我々の好物だと分かった!!
只者ではない…人の良さそうなオーナーはきっとどこかの国のお庭番なのだろう。
そちらの陛下によろしく。

入ってすぐのロビーは1階ではなく6階だった。
なんと6階、と思った我輩は4階に宛がわれた部屋に行こうとして

エレベーターの上のボタンを押してしまった。

分かっていたのに。何故。
一重に我輩が阿呆だからだろう。
この阿呆が考えに考え抜いたところでこのホテルの良さは伝わらない。
ここにURLを載せる。
各々、神が宿泊したホテルを確認しておくように。
ムロコ姫の日記に描かれたバラ風呂の様子も今なら見られるだろう。

http://www.hanasenkyo.jp/index.html

部屋は思ったより広く、鬼怒川もよく見えた。
1つ残念なことは405号室だったということだ。
あと1つずれれば403。そう、ヨザの部屋である。
ただ我々は考えた。発想の転換だ。
隣がヨザの部屋。次男と宿泊。聞き耳を立てればよいのではないかと。
聞き耳を立てると言っても本当に立てるわけではない。
妄想とは便利なスキルだ。
案内図に描かれた隣の403号室の妙な狭さをお伝えした際
コンラッドとヨザックに距離は要らないと言った瀬高殿に乾杯。

まず荷物を降ろし、鬼怒川を見下ろし、机の上に持参した土産を並べ薄い茶を入れて一息。
ここでムロコ姫へのプレゼント贈呈。
二人とも色は当然ピンク。
瀬高殿が贈ったやけに可愛いタオルもムロコ姫なら使いこなせる。
我輩はアクセサリーをお贈りしてみた、つけて下さってありがとう御座います。
瀬高殿の贈り物はこれだけでは終わらない。
彼女のムロコ姫への執念は生半可なものではないのだ。
ムロコ姫は侮っていたのだろう、その愛を。



そうか、酒は瓶で贈るものなのだな。


彼女は居酒屋で少し飲めれば良かったそうだが…瀬高殿の気はそれでは済まないのだ。
振舞うと言ったら瓶でこれでもかと言うほど振舞うのだ。
その愛情の表現の仕方があっての、あのコンヨザ日記。
日々是コンヨザ。これでもかと言うほどのコンヨザ。口癖にしようコンヨザ。
挨拶にも多用してみては如何だろうか、コンヨザ。
明日からおはようの代わりにコンヨザ。おやすみの代わりにコンヨザ。
おはようをコンヨザにするとただ挨拶が変わるだけではない。
おはようのキスはコンヨザのキスと表現出来るようになるわけだ。
おやすみのキスも同様だ。
起き抜けにコンヨザキッス。お休み前にはコンヨザキッス。
どうだ。コンヨザがキスしてる絵が否応なしに浮かんでくるだろう。
一応言っておくが、私はヨザケンの人間だ。
しかしコンヨザも食している。
パン派?ご飯派?どっちも派。でもどっちかって言うと…ヨザケン派だ。

飯を食べに。
朝は食べずに昼は列車の中でパンを少々。
我々は腹が減っていた。まだ17時前だったが、お庭番のオーナーに貰った飲食店地図を手に
飯を食べに部屋をあとに…したが、6階の土産物屋に立ち寄る。
無理もない。これがあっては無理もない。
やはりこの宿は何かがおかしい。何故こうも我々に優しいのか。
これを我々はどう受け止め、妄想に生かしていくべきなのか。



まさかのヤギミルクだ。
何故温泉地でヤギミルクタブレットなる物を買わねばならぬのか。
グリ江の呪いとしか思えない。
漬物、キーホルダー、Tシャツ、子供向けのスペース…楽しめるのだが、店員が居る気配がない。
これはあのお庭番のオーナーが居るカウンターに持って行けということだろうか。

人件費の削減、などと思った我輩の考えが間違いだと気付くのは街に出てからのことだった。



腹が減っているとはいえ、観光地に来たという意識はある。
宿から出て少しの場所に「ふれあい橋」があった。
鬼が触れ合っている絵があるが、鬼に触れ合いそうな空気はない。
…鬼だからだろう。
一番最初にこの写真を載せたがふれあい橋の見せ場は橋ではなく別の所にある。
橋の端から、前を見ると。



階段に描かれた赤鬼が我々を見ていた。
ちょっとやそっとの段数ではない。この赤鬼、かなり大きいのだ。
鬼怒川に行く機会があれば是非見て欲しいのだが一つ気を付けて頂きたい点がある。
この橋の左側のホテル。
鬼の真横に男風呂が配置されているのだ。
局部に近い部分はすりガラスになっているが…全てをすりガラスにしては鬼怒川を見ながら風呂に入れないので
クリアな部分があるのだ。
凄い橋ーvなどと楽しげに寄っていったらおっさんの裸。
急いで引き返す我々。
見てはいない。局部はすりガラスだった。
あそこにヨザックが入ると言ったらコンラッドは橋を封鎖するに違いない。

そんな理由ではレインボーブリッジを封鎖するぐらい難しいだろう。
俺のヨザックが風呂に入るからこの橋を通るな、と。
の、ではないか俺とヨザックがなのか。
事件は会議室でも温泉でも起こっていない。
いつも我輩の脳内で起こっているのだ。

引き返してきた我々を鬼怒太が「やれやれ」と出迎える。



鬼怒太とムロコ姫の対面。
あの鬼に近付く前に注意してくれれば良かったものを…鬼怒太は姫が慌てふためく姿を見たかったのだろう。
対面した彼は恥ずかしさから目を逸らし続けた。



-------------------続き。



気になっていた橋を見ただけで我々は観光地を軽く満喫した気分になった。
地図を片手に今度こそ飲食店を目指す。
鬼怒川まで来て「焼きそば食べに行こう」という愚かさを発揮した。
仕方ない。鬼怒川名物は川であって、食べ物ではないのだ。
もしかしたらヤギなのだろうかという疑惑が心の片隅を突いていたが
うら若いと信じたい年頃の娘三人が焼き肉屋で肉をがっつくのは金銭的にも絵面的にも遠慮したい。
我輩の場合は切実に金銭的な理由で遠慮したかった。
とにかく、阿久津商店等を頼りに我々は飲食店を目指した。
「阿久津商」までしか見えなかった時点で姫は一度「阿久津南」と読む奇跡を起こしたが
餃子をヨザと聞き間違える彼女には何の奇跡でもなく、恐らく日常なのだろう。
姫は高みから突如爆弾を落としてくるので注意が必要だ。
気を抜くと腹筋が破壊されてしまう。

地図に乗る飲食店と言うのは、飲食を目的に書かれるもので、目印というのは
第二の役目だと思われるのだが、鬼怒川という街では違うらしい。

第一の目印、営業している気配がない。
第二の目印、営業している気配がない。
第三の目印、営業している気配がない。

もはや街は、ただの屍のようだ。

もしこの街をダーツの旅のディレクターが訪れたら、発見出来るのは観光客であって
村人ではないだろう。
いつまで経っても第一村人に会えない。
営業しようという意志がどの店からも全く感じられない。
夕飯前の時間のはずだが、店には灯りさえついていない。
もしや17時になったら伝説の鬼の鬼怒太が暴れ出すのだろうか?
そう本気で疑うほどに鬼怒川の人間が店に見当たらない。
我々は妄想で心を慰めた。
牛乳瓶の自動販売機を前に「温泉後、村田が腰に手を当てて飲む」と言い合った。
あまりに店が見つからない。コンビニは営業している。
この状況を前に即席渋谷になったりもした。

「もうあのコンビニで買った方が早いんじゃないか?」
「ここまで来てコンビニ!?旅行してる意味全くないじゃん!」
「でも渋谷、鬼怒川の皆さんは17時就寝の雰囲気だよ?駅まで行っても店がなかったらどうするのさ。」
「駅まで!せめて駅までは希望持とうぜ!」

こうしないと我輩の心は現実の重さに押し潰されそうだったのだ。
何故ない。何故飲食店はことごとく閉まっているのか。
観光地として客を持て成す気がないのは致命的な欠点だと思う。
千葉とは言え、我輩は都会に住んでいたのかもしれない。
この街の住人はやる気がないのではなかったのだ。
それを示す物として、こちらをご覧頂きたい。



なんというスローライフ。

栃木県でもそこそこ名の知れた観光地、鬼怒川の住民は大らかさが規格外だったのだ。
このバスの運転手、月給はいくらなのだろう?
10分歩けば駅に着くという環境でしか許されないバスのダイヤ。
自家用車率は120%で間違いない。
この大らかさにはバス停近くの鬼怒太も顎に手を当てて考え込んでしまう。



我輩たちは橋を渡ったコンビニでもし何もなかったとき用とは言わず
朝ご飯用に…と何かをボカしておにぎりやパンを買い込んだ。
そして栗焼酎を割る用の水を買い込んだ。
セブンイレブンはいい気分を越えて、我輩を救われた気分にさせた。
ありがとうセブンイレブン。
お主のロゴがもうセブン&アイなのだと、今の我輩にはまだ浸透していない。
アンインストール。

駅周辺。
駅周辺で、我輩達はラーメン屋から人がゴミを捨てに出ているのを発見し
駅まで行って何もなかったらあのおっさんの店に行くしかないと、おっさんの姿を胸に刻み込んだ。

駅だ。人が居る気配がない。

我々は早くもおっさんの姿を思い出した。
鬼怒川にて、新潟ラーメンを食す夜。
折角だからと、ヨザ(餃子)も一皿頼み皆で回し食いをした。
こちらの店のヨザはとても家庭的で具の目が粗く、それがよりヨザックらしかった。

粗く熱い中。

我輩は今、餃子の話をしているということを忘れてはならない。
店内で流れていた釣り番組を真剣に見てしまったのは
腹が減りすぎていた、及び街の閑散さに精神的苦痛を与えられていたからであって
決して、あの黒いパーカーの男性が好みであったとか、イカスミパスタを相手に
「双黒が食べられている。」等の妄想をしたからではない。
あのときの我々達は何か、憔悴していた。
呆然と見た釣り番組。呆然と見回した店内。黙々と食べたラーメン。
うら若き乙女の食事とは思えない。一心不乱の食べっぷり。

どこで道を間違ったのかとんと検討がつかぬ。

風も強くなり、日も落ちてきた。
とりあえず温かいスープで元気を取り戻した我々はさくら通りを通り先程の
「ふれあい橋」の鬼階段を降りてホテルに帰ろうと席を立った。
その日さくら通りでは祭りが催されたようだが、何も楽しんだ気配がない。
祭りの後の静けさではない。祭りがない静けさだ。
鬼怒川の住民は何をもって「祭り」というのか真剣に問いたい。
きっと夕方だからだ。次の日が祭りでも後片付けを全力で行う街なのだ。
そうに違いない。そうだと思いたい。そうだと言ってくれ。

鬼の階段を時折振り返りながら、男風呂だけは見ない様に降りると
我輩はとてつもなく安堵した。
もうすぐ宿という安心感なのだろう。
この橋につけば、暗闇を彷徨って両親の顔を思い出す必要はない。
宿はすぐそこだ。
女性専用のバラ風呂を羨ましがるグリ江に、それを実現させてしまう次男という
妄想をする余裕が我々に戻って来た。

「えーっグリ江もバラのお風呂に入りたいわーんv」
「女性専用だって。残念だったねグリ江ちゃん。」
「やだーっグリ江も入る入るー!」

「お前の為にバラを買って来たぞ。」
「うぇ!?あーあー本当に浮かべちまって。もー。ホテルの人に怒られちまうじゃないすかー。」

冗談が通じない次男と常識人ヨザ。
同じネタでも我輩と瀬高殿ではどこかに分岐点が出来、違った形になる。
誰かと居るということは一粒で二度美味しいのだ。
ムロコ姫は我輩達のように小手先でなく突如、大きな爆弾を落としてくる。
一発が重い。いくら妄想を発しようと、餃子をヨザと聞き間違える一発には到底敵わない。
その辺りの認識が姫は甘いようだ。天然とはかくも恐ろしいものか。

冷え切った身体と妄想を手に、我々は待望のバラ風呂へ向かった。

バラ風呂から出られない。

長い間三人でひたすら浸かっていた様に思う。
どれだけ入れば気が済むんだというほどに浸かり続けた。
バラの種類は四種類、そして色違い。
水面の三分の二を埋め尽くすバラ。
赤いバラ、黄色いバラ、オレンジのバラ、紫のバラ、ピンクのバラ…。

バラ風呂から出られない。

バラを掛け合ったり、くすぐったがるムロコ姫に押し付けたり、毒々しい色のが欲しいとかき集めたり
香りを比べてヴォルフ(黄)が一番と頷き合ったり。
中に、湯が出る部分で延々上手いバランスでそこを動かず湯に打たれ続ける紫のバラギュンターを
笑って眺めたり。

バラ風呂から出られない。

温めの湯だったせいもあり。出られない。
目の前の少し温度の高い普通の湯に浸かる頃には我輩達の手は皺だらけだった。
その温度の高い湯に浸かってからも長かったが…とにかく我々は風呂を満喫しまくった。
ビンゴ大会を捨てて風呂を楽しんだ。

各々が選んだ浴衣に身を包み、素直に女の子気分できゃぴきゃぴ。
瀬高殿とムロコ姫の浴衣姿は目の保養になった。
羨ましいだろう。羨ましがるがよい。
二人揃った浴衣姿は我輩しか知らぬ秘密なのだ。
そんな中、部屋で浴衣の下にジャージを履いたのは我輩だ。
自分の胃や腹が最弱なことを我輩は知っている。
更に、旅行前日の夕飯を吐いている事実があったのだ(爆)
我輩の胃は最弱だ。

だが酒は飲める。
年に片手で足りるほどしか飲まない癖に酒には割と強い。

栗焼酎を飲むペースを間違った気がする。
三杯目以降は自重してお菓子を食らったぞ。
姫の持ってきたカニの煎餅が我輩はいたく気に入った。美味い。
瀬高殿の持ってきたキットカットきなこ味は食べてみるとアリだった。
2人ともお菓子をありがとう。

ここから怒涛のコンヨザナイトが始まる。
スケブの渡し合いである。
姫と我輩のコンヨザ5枚は瀬高殿のブログに思い切りUP済みだ。
我輩はムロコ姫にムラケンズを強請った。
後日、スキャナで取り込んで色塗りを楽しもうと思う。
愛しさのあまり絵を見ると「へけけ」という奇怪な笑い声をあげてしまうが
それもあの絵の前では仕方ないことだろう。
「おはは」でも同じ感情が表現出来そうだ。
むしろ「おはは」の方がこの感動が伝わるかもしれない。

寝乱れる二人。
瀬高殿はくっつきたがりな部分があり、ことあるごとにムロコ姫を押し倒したり
抱きついたりを繰り返していた。
我輩には子猫がじゃれ合っているようにしか見えない。
ムロコ姫の立てた膝のトンネルに腕を突っ込んで我輩と手を繋いでいた瀬高殿は凄い。
ムロコ姫の脚の角度は青少年に刺激が強かった。
ムロコ姫をヴォルフ、瀬高殿をグレタ、我輩を有利とするといい感じに妄想が出来る。

「ユーリー。」
「うわっグレタなんつーとこから手ぇ出して…!」
「……(黙々と絵を描いている)」
「ユーリ早くー。」
「うっ、俺の方は脚のトンネル通ってないし…よ、よし!///」
「うふふーユーリの手、あったかーい。」
「ソーデスネ!///」(ダメだろこの角度ダメだろー!!!)

我輩はあのときどうすべきだったのか。

4時を越える。
朝も4時を越えると明日の予定を執行出来なくなる可能性が出て来た。
我輩達は7時にアラームを仕掛け眠ることにした。

姫曰く、一番最初に寝たのは瀬高殿だそうだ。


2日目に続く。
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大黒湯
性別:
女性
自己紹介:

川本佳以―かわもとけい
テニス担当 
千石×室町 跡部 新渡米 

吉田蒼偉―よしだあおい
まるマ担当
ヨザック×村田 有利×ヴォルフ

一心同体で千葉から妄想中。
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