くだらなくも愛しい日常を公開。
テニス(山吹)まるマ(ヨザケン)電王(キンウラ)に熱を上げている今日この頃。
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千石と室町 1
幼馴染パラレルです。
千石にタメ語を使う室町が許せない方は想像して
鳥肌を立たせた時点でお戻り下さい。
許せて興味がある方は右下のぐるぐるまわる?からどうぞ。
●川本佳以●
幼馴染パラレルです。
千石にタメ語を使う室町が許せない方は想像して
鳥肌を立たせた時点でお戻り下さい。
許せて興味がある方は右下のぐるぐるまわる?からどうぞ。
●川本佳以●
「れ?おばさん、十次は?」
オレンジの髪とは不釣合いな買い物かごを持って
八百室に来店した清純はいつもの少年の声がないことに
少し驚いた顔をして店内を見回した。
八百屋業大好きな十次が夕飯のお買い物時間に
店に出ていないなんておかしい。
土のついた野菜を洗わずに齧って腹でも壊したのだろうか?
商品に手をつけずに十次を探す本屋の息子清純に八百室の
奥さんで十次の母親の千栄子は美人の顔を綻ばせた。
「もうすぐ中間テストだから店に出ないで勉強しろって言ったのよ。」
清純に向けられた一言に常連客がそうなのかい、と返した。
お年寄り二人もその言葉に淋しいねぇと零しいつも居る筈の少年を探す。
「ふふっ皆さん十次はどうしたって聞くの。」
「看板息子ですからネー、こんなときから皆さん知ってるし。」
自分の腰辺りで手をひらひらとさせ
周りの客と共有出来る思い出を蘇えらせる。
この八百屋の常連客は本屋でも常連客。
キヨちゃんもこんなだったわよ、と言われ営業スマイルをにっかり返した。
「苦戦してる?」
「普段からキヨちゃんみたく本でも読んでれば
苦労しないんでしょうけどね。」
「ちょっと上がっていいですかー?」
「お母さんが大根を待ってるんじゃないの?」
「ちょっとだけ、すぐ帰りますんで。」
言いながら店から家に上がっていく清純に
微笑ましそうな視線が送られていた。
「相変わらず仲がいいんだねぇ。」
「ずっと一緒に居るんだからキヨちゃんの成績がいいのが遷ればいいのに。」
「十次ちゃんは野菜の申し子だからね、天はニ物を与えずだ。」
「キヨちゃんは成績がいい上にオシャレでカッコイイし、接客も上手じゃありませんか。」
「本屋さんと取替えなせぇ、あっちは実直な十次君がええと言うとりましたわ。」
「あら、今度相談してみます。」
息子を勝手に取り替えるなよ。
意味不明の数式に頭を悩まされながら十次は階下の母親に突っ込んだ。
トントンと階段を上がる音に手を止めたまま待つ。
「手ぇ止まってるし。」
「違う、キヨちゃんの足音が聞こえたから止めたんだ。」
「出迎えなら裸エプロンでやって欲しいな。」
「バカが来たー、それは俺じゃなくて姉ちゃんに言えって。」
「十次のエプロン姿は可愛いよ。」
「俺客じゃないから、上がってきたなら早くコレ教えてよ。」
「教え甲斐のない生徒だなぁ。」
よっこいしょ、と隣に腰を降ろした幼馴染は
ここいらじゃ一番頭がいい高校に通っている。
紙とシャーペン貸して、と言いながら頭の中では数式が
完璧な道を辿って攻略され要求したモノが手に渡ると
同時に紙の上へ答えがばら撒かれる。
「…イヤミなくらい早いよね。」
「イヤミっぽい?それはメンゴね。」
「いいけど…そんな髪で怒られないの?」
「点取ってりゃ怒られない…のかな、俺はあんま言われない。」
「神様は不公平だ。」
「俺には野菜の申し子と呼ばれる才能はないから。」
「バカにしてる?」
「十次の未来には八百屋があればいんじゃないの?」
「そうだけど…何かそれしかないのもどうかと思わない?」
「あ、じゃあ2個目の選択肢あげるよ。」
「何。」
「俺のお嫁さん。」
「わー勉強しよう、すげーやる気出た、だから帰れ。」
「何だよその冷たい返し、じゃあこの紙持ってくからね。」
「それは置いてって。」
「俺と結婚しようよ。」
「バカじゃねーの?男だし、お互い店継ぐんだろ。」
「いいじゃん両方経営してけば。」
「俺達の跡継ぎ生まれないし。」
「養子制度があるよ。」
「絶対に里親審査を抜けられない。」
「十次ってそういう言葉知ってたんだ。」
「!!!帰れ!マジで帰れこのガリ勉!!」
「ガリ勉って!!俺はテスト前も店番してましたー!!」
「どうせ俺はバカだよ、遷らない前に帰ったらいかがですかー。」
「テスト一日前に泣きついてきても知らないからね。」
「兄ちゃんはキヨちゃんだけじゃないですー。」
健ちゃんに雅美兄に稲兄だって居る。
十次は何故か隣の金物屋のお兄ちゃんの名は出さなかった。
頼りはお前だけじゃない言われた清純はぐっと詰まって
立ち上がると十次の顔を思い切り指差した。
「俺は諦めないからな!絶対に十次を嫁に迎え入れる!!」
そのままふすまを勢いよく開け階段を駆け下りる。
また来てねーと千栄子の声が聞こえた。
会話が駄々漏れになっていたのか客と千栄子が
十次の嫁入りについて話している。
今日の大根はいいのが入っていた。
清純はちゃんとそれを選んで買えただろうか。
いくら見分け方を教えてもいつも違う野菜を清純は手に取るのだ。
喧嘩した後でも野菜が絡めば心配してやる。
部屋の窓を開けて商店街を見下ろせば
怒鳴って出て行った清純が項垂れて歩いていた。
遠くの大根に目を細め
母親がしっかりいい大根を買わせた事に安堵する。
「…俺かキヨちゃんが女だったら母さんはマジで喜んだろうね。」
幼馴染が与えてくる兄弟愛を鬱陶しいと思いながらも
紙の上で踊る清純の右上がりの字はやっぱり愛しいと思った。
―――――
突発すみませんでした。
野菜に情熱を燃やすムロマチ君が見たい、から
これから自分で作ろうと思います。
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