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くだらなくも愛しい日常を公開。 テニス(山吹)まるマ(ヨザケン)電王(キンウラ)に熱を上げている今日この頃。
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お花屋さんだけどうまく花が組み合わせられない新渡米。
無難な組み合わせが大得意の魚屋、東方。

そんな2人の妄想です。

では右下のぐるぐるまわる?からどぜうもん。

●川本佳以●



「………こんなもんか、おーい稲吉ー。」

シャッターの下りた店の中から雅美は家の中の稲吉を呼んだ。
下に散らばった茎を足で少しだけ集める。
少しだけ遠くから作り上げた花の籠を見て雅美はもう一度頷いた。

「出来たぁ?」

その雅美の後ろからこの店の跡継ぎの稲吉が現れる。
雅美の隣に並び、その完成作品を確認してにこぉっと笑った。

「ありがとねーん♪」
「これでいいのか?」
「うん、あとは包装ーっと。」

手際良く稲吉が包装していくのを最初だけ見て
雅美は手を洗いにその場を離れる。
リボンの色は流石におかしくならないだろう。
すっかり草の匂いの染み付いた手を念入りに洗って戻ってくると
稲吉は既に包装を終え床の掃除をしていた。

「ホントにありがとねーん、助かったよぉ。」
「全くだ、たまには自分で考えろって。」
「俺が考えたらどうなるか知ってるクセにぃ。」
「…。」

稲吉の考える花の組み合わせはとても毒々しい。
一応デザイン系の専門学校を出たはずなのだが
課題を個性的な作品で乗り越えられたのがいけなかったのだろう。
基礎をすっ飛ばしても受け入れられる彼の作品は
確かに個性的で他になかったが花屋では何の役にも立たなかった。

「そろそろアジが焼けるよん。」
「…そういうのは出来るんだよな。」
「魚好きだからねぇ俺。」

ゴミを捨てて家のスペースに上がる稲吉を雅美も追う。
開店前に働かされたバイトの報酬は稲吉の作った朝ご飯だ。
ただその朝ご飯の魚は雅美の店で買われた品である。

「いただきま…ちょ、雅美、箸つけるの早くない?」
「いただいてます…うまい。」
「お前ん家の魚だから、こんなお返しでゴメンねぇ、仕入れあるのに。」

確かに自分の家の魚はいいと思うが稲吉の腕がいいせいだと雅美は思う。
味噌汁も卵焼きも美味しいのだから。
高齢で臥せることの多い祖母と暮らす稲吉は
家事全般を自然と身に付けているのだ。
その上、花屋を男1人この若さで切り盛りしている姿を見れば
朝から手伝ってと言われて断れるわけがない。
2人で朝のニュースを見て少しの会話をし、お茶を啜る。
落ち着いた頃になると稲吉は必ず言うのだ。

「時間大丈夫?」

自分の店はまだ油の乗りまくった両親が健在で
自分が居ない所で何の支障もない。
むしろ商店街の人情で稲吉の所を一日手伝えと言われるぐらいだ。
そんな両親と知っていても申し訳なさそうにする稲吉に
雅美はいつも歯がゆい気持ちになる。

「あぁ…言ってあるし。」
「ゴメンねぇ?」
「いいって。」

いつもの図々しい甘ったれた稲吉に戻るようにと
ぐしゃぐしゃに頭をかき回す。

「わぁ。」
「お前は変な所で遠慮してくんじゃねーよ、調子狂うだろうが。」
「俺そんないつも図々しくないよん。」
「初めて知ったな。」

乱された髪を片手で整える稲吉に雅美はちょっかいをかけ続ける。
時折触れる稲吉の手の冷たさが切なかった。

一生懸命に自分の奇抜なセンスと闘っているのも知っている。
さっさと死んでしまった両親に恨み言ひとつ言わず
頑張っているのを知っている。
まだ教わってないことがたくさんあったろう。
ぶつかりながら何とか店を守っているのだ。
この冷たい手が少しでも楽になるなら
幼馴染として何かをしてやりたいと思うのは当然だろう。

「お前の手、相変わらず冷てぇな。」
「心があったかいと手は冷たいんだよん。」
「ちゃんと休んでんのか?」

ふ、と手が触れた瞬間にその手を握って離したくなくなる。

最近の2人はこういった雰囲気になる事が多い。
肯定も否定もしない稲吉に雅美は手を握ったまま
その瞳を見つめた。


ドンドンドン!

「いーなーきーちー!」

雅美と稲吉の手が離れる。
清純の声に無言で立ち上がったのは雅美だ。
稲吉はそれを見送って冷たい手を握り締め
自分も後を追う為に裏口へと向かった。

ガチャ。

「あれ?雅美?」
「…何だよ。」
「あ、うん、えっとコレ…。」
「渡しとく…。」

千石家も稲吉の祖母の具合が悪いのは知っている。
朝食にも夕食にもなれそうな煮物を清純は持っていた。
良かれと思って朝から訪問した清純は
何だか機嫌の悪い雅美が出て来たことに
自分のタイミングの悪さを呪った。
後ろから稲吉が顔を出すまで雅美と清純の間に嫌な沈黙が流れる。

「あーありがとーおばさんの煮物好きなんだぁ。」
「イナ、おばあちゃん大丈夫?」
「うん、昨日先生も来てくれたし大丈夫だよん。」
「そ、そっか、えーっと…。」

「俺、帰るな。」
「あ。」
「うん、ホントにありがとねん。」
「ごちそうさまでした。」
「あ、あぁ…っ雅美!」
「あ?」
「ご、ごめん。」
「何で謝ってるのか分かんねーよ。」

イナと2人きりを邪魔したことだよ。

まだ自身の気持ちに気付ききっていない2人を前に
言う事は出来ないが背中に冷や汗を流しながら
不機嫌オーラ全開の雅美に清純は得意の愛想笑いをした。


・・・・・・・・・・・・
東方のキャラを少し、連載とは変えたいんだけどなぁ。
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まるマ担当
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